ノースマンLOVER

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獺祭の旭酒造社長の著書「逆境経営」を読みました

はじめに
 獺祭で有名な旭酒造の社長の著書「逆境経営」を読んだので、要点まとめと感想を書く。
  
 
 この本は、一時はつぶれかけていた旭酒造を立て直した桜井社長の経営奮闘記である。
 
追い込まれてこそ、行くべき道が見える
 一般的に日本酒造りは酒造自体が行っているわけではなく、酒造りの技術者集団である杜氏を雇って行われる。杜氏は夏場は農業をやっており、暇な冬場に杜氏として日本酒を造るケースが多い。そのため、日本酒は冬場のみに作られる慣習になっている。
 しかし、旭酒造には杜氏が存在しない。(正確に言えば最初はいたが、事業に失敗して逃げられた。)酒造りをマニュアル化し、社員の手で行っているのである。そのため冬場以外も酒造りができ、全国でも類を見ない「四季醸造」(冬場だけでなく、年間とおして酒を造る)の体制を可能にしている。
 
「経験と勘」は数値化して「見える化」する
  杜氏に頼らず、社員で酒を造らなければいけないため、徹底した数値管理を導入している。「経験と勘」を活かした熟練者のみができる酒造りではなく、普通の社員が毎日の決まった仕事をたんたんとこなすことで、最高の品質を可能にする酒造りの構築を目指している。
 

伝統にはこだわるが手段にはこだわらない

 旭酒造の伝統は、“より優れた酒を目指して「変わる」こと”とのこと。 日本酒業界で初めて遠心分離機を導入したり、次々新しいことに挑戦している。
 
よりよいものがあれば、風習にこだわらない
  日本酒を提供する際に多い、マスの中にグラスをいれてそこに酒を注ぎこぼすように入れるスタイル。マスが本当にきれいか、本当に180ml入っているのか、飲み始めはこぼさないように背中を丸めて慎重に飲まないといけない(カッコ悪い)など、このスタイルに対して桜井社長は不満をもっている。そこで旭酒造では「注ぎこぼさなくて、しかもカッコいい」酒器をとしてワイングラスを選び、ワイングラスで日本酒を飲む新しいスタイルを提唱している。またオリジナルワイングラスも提供している。
 
 
理想的な<獺祭>を世界で見せたい
 旭酒造はパリ・ロンドン・ニューヨークに獺祭の直営店を展開している。しかし、世界的には日本酒はワインと比べて格下だと認識されている模様。その理由の一つとして、日本酒には高価格帯のものが存在しないことを挙げている。ワインには1本何十万するものもあるが、日本酒にはない。そこで、海外市場を開拓するためにも、旭酒造は<獺祭 磨き その先へ>を開発した。720mlで3万円以上する。ただ高いだけの酒ではなく、値段に見合った品質を提供しているとのこと。
 
感想
 旭酒造は古い慣習がたくさん存在する日本酒業界に革命をもたらした企業だと感じた。日本酒は杜氏が職人のワザを駆使して造ってなんぼという人もいる。(実際に先日訪れた飲み屋の店員が獺祭は社員が造っているからだめだと言っていた。)しかし、私は獺祭は他の日本酒に全然劣っていないと思うし、むしろ一番好きだ。今後も旭酒造には日本酒業界で様々なブレイクスルーを起こしていって欲しいと思う。
 
 ちなみに2/13(土)に東京獺祭の会というイベントに参加してくる。

https://www.asahishuzo.ne.jp/info/event/item_2380.html

 

 全種類の獺祭を飲むことができ、獺祭の最高級品種<獺祭 磨き その先へ>も飲めるとのこと。桜井社長も出席するらしいので、チャンスがあればお話してみたい。楽しみ。